作者：詠み人知らず

パーティから追放された犬が最強すぎた件

勇者たちのパーティには、一匹の犬がいた。名前は「ポチ」。パーティにとって、彼は単なるペットであり、戦闘には一切参加せず荷物運びばかりをさせられていた。

しかし、ある日、ポチが全ての荷物を運搬する中で、宝石を誤って口に入れてしまうという事態が起こった。

「ポチ、何をやってるんだ！？」
「あの宝石は重要なアイテムだ！」

戦士と僧侶がポチを責め立てる。

「ごめんなさい、僕がしっかり見ていなくて…」

と、勇者が申し訳なさそうに頭を下げる。しかし、既に遅い。ここは厳罰に処すべきである、と戦士と僧侶は声を揃える。

ーーそうして、ポチはパーティから追放された。

その後のパーティは思った以上にポチの不在に頭を悩ませた。荷物を担ぐ者がいないこと、どうやらポチが会話を聞いて回ってくれていた敵の位置情報が得られないこと。特に、戦士と僧侶はポチを困らせてしまったことに後悔の念を覚えていた。

そして数日後、パーティが窮地に立たされた。強大な魔物の攻撃により、全員が倒れ、視界が暗くなる。しかし、その時、頭上で大きな輝きが現れた。

「これは…！？」

魔物は天から降り注ぐ光に吹き飛ばされ、その場に倒れ伏した。そして光が弱まった時、そこにはポチが立っていた。口にはあの時飲み込んだという宝石が輝いている。

宝石からは莫大な魔力が放出され、ポチはその力を操り魔物を倒したのだ。

「ポチ…いつの間にそんな力を…」

僧侶と戦士は驚き、勇者は泣きそうになる。彼らがポチを見捨てようとした時、ポチはただ黙って彼らを助けてくれた。

その日以来、ポチの存在がパーティにとってどれほど重要かを彼らは理解した。

そして勇者はポチに深く謝罪し、再度パーティに参加してもらうことを願った。

ポチの追放は間違いだったと心底反省し、パーティ全員がポチに感謝の意を示し続けた。これからも彼らは、ポチをただの犬ではなく、立派な仲間として大切に扱うことを誓ったのだった。