作者：詠み人知らず

クイズ王YouTuberたちの究極バトル

日はすでに傾き始め、ビルの間に残る光がちらほらと僅かな足跡を残していた。

「これが、俺たちの新しい企画だー！」
「まさかの全員集合ってことかい？」
「はっはっは、違う世界のクイズ王どもを集めて、そこにはない智のぶつかり合いを見せてやるのさ」
「ふふっ、我々の魅せるクイズは視聴者を魅了すること間違いなし！」

そう話すのは有名なクイズ王YouTuberたち。彼らはひとりでは飽き足らず、今回は合同企画として奇妙なクイズバトルを計画していた。

ーー太陽がすっかりと沈み、いよいよその時間が到来する。

画面に映されるのは、派手な色をしたジャケットに身を包んだ男、"カラフル頭脳王"ことアキラである。

「みなさーん、お待ちかね！ 今宵は特別なクイズバトルをお届けします！」

アキラの背後には、他に四人のクイズ王たちが並ぶ。そこには、“知恵の紅魔”ユリア、"ロジカルファイター"トム、"歴史マスター"シンジ、"数学王子"レンが姿を見せていた。

「セリフ」
「こんにちは！ ユリアです。今夜はこの私が女性のプライドを賭けて戦うわ！」
「トムだ。ジャンル問わず、論理的にことを考える。それが俺のスタイルだ！」
「ふ、歴史に埋もれた無数の事象……それをすべて解き明かして見せるぞ、俺はシンジだ！」
「れんれんことレンだよー！ 数字の魔法で皆を魅了させちゃうよ！」

企画は簡単だ。それぞれが専門ジャンルから難問を出題し、他のクイズ王たちが解答する。全問正解者がその日のチャンピオンとなり、次回のクイズも自身の領域で戦う権利を獲得する。

アキラがスマホを取り出し、タイマーがセットされた。
「それでは……スタート！」

画面はまずユリアから。彼女の出題したのは、文字通り血を抜かれるような難易度のクイズだった。

「セリフ」
「この女性は過去に何を成し遂げた？」

画面に映し出されたのは、歴史の教科書で見たことがあるような有名な肖像画。解答者たちはただちに思考を巡らせ始める。

「セリフ」
「これは……あの事件の……」
「ああ、確か彼女は……」
「こ、これは……まさかそんな偉業を？」

それぞれの得意分野を縦横無尽に駆け巡りながら、ついに全員が解答を出した。だが、正解したのはシンジとアキラだけだった。

続いてトム、シンジ、レンと各自のジャンルに特化した難問が次々と提示される。しかし、奇跡は起きなかった。誰もが一問くらいは躓いてしまい、完全勝利者は出なかった。

ーー最後に残された舞台はアキラのもの。

「さあ、最後の問題だ。これが解けた者にのみ、今日のチャンピオンの座が与えられる！」
そして、アキラの出題したクイズが全員を困惑させるものだったことは言うまでもない。

「セリフ」
「このパターン……まさか……」
「これは一筋縄ではいかないな……」
「わからない……でも、あるいは……」

しかし、まったく予想外のことが起きる。誰もが苦戦する中、レンのみが難なく答えを見つけた。

「セリフ」
「正解は、これだ！」

レンの発する答えの瞬間、驚きの表情を浮かべるクイズ王たち。

「リスペクト、レン。君が今宵のチャンピオンだ」
「スゴイね！ 数学でない問題でも解決できるなんて！」
「レン、君のその発想は……すごい！」
「ちょっとまって。まさか……君がこんなところからも引っ張ってくるなんて！」

ふっとレンが笑った。

「セリフ」
「ありがとう！ でも多分、僕だってみんなが教えてくれたことがあったから解けたんだよ」

画面はそれぞれの笑顔で終わり、コメント欄は驚きと賛辞で溢れかえった。

クイズ王たちの予期せぬ戦いは終わりを告げて、しかし新たな物語の序曲を奏で始めていた。