作者:詠み人知らず
都会の雑踏を抜けると、小さな図書館がある。その奥の部屋に安楽椅子に座る村田康はいつものように本を読んでいた。
事件はいつも不意に起きる。今日も例外ではなかった。
「村田さん、また変な事件があったんですよ」
「ふむ、それで?」
図書館の司書、柴田が話し始めた。
「宝石展示会で高価なダイヤが盗まれたんです。でも、監視カメラやセキュリティは完璧で、犯人の姿は一切映っていないんです」
「そうか、ではいつものように情報を集めてきたか?」
「はい、これが監視カメラの映像と聞き込みのメモです」
村田はゆったりとした動作で情報を手に取る。その目は鋭く光を宿していた。
ーー状況を詳しく確認すると。
カメラの映像は何気ない来場者たちの姿。しかし、何も異常は起きていない。そして聞き込みメモには、当日会場にいた人々の証言が箇条書きになっている。
「ん、この人は?」
「ああ、そうですね。彼は常連のマジシャンで、当日は観客を楽しませる小道具を持っていました」
「ほう、マジシャンか…」
心の声
(マジシャンがいれば、トリックも考えられるが、カメラにもセキュリティにも引っかからないとは…)
(しかしここに何かがあるはずだ。盗まれたタイミング、誰もが見ていたはずの中で…)
さらに情報を精査する村田。
「セキュリティのカメラの角度に死角はなかったのか?」
「いいえ、ないんです。その日のために特に増設していたそうです」
「なるほど、それで見落とされるとは…」
しばし考え込む村田。すると、彼はふとメガネを直しながら目を輝かせた。
「柴田くん、あのマジシャン、テーブルクロス引きを披露したと書いてあるな?」
「ええ、そうですが…」
一呼吸置いて、村田はゆっくりと口を開く。
「そのトリックがヒントだ。盗難が起きたのは、マジシャンがテーブルクロス引きを披露した瞬間だったのだろう。集団心理が働き、観客全員がそのトリックに注目している隙に、彼の助手が盗み出した。セキュリティやカメラもスムーズな動きには反応しない。ステージの下には通路があるはずだ。きっとそこから助手が潜り込みダイヤを持ち去ったんだ」
「えっ?でも、助手はカメラに写っていませんよ?」
「ああ、それはなぜかと言うとね…」
村田はニヤリと微笑み、決めゼリフを放つ。
「カメラが捉えられないもの——それはカメラそのものだよ。助手は最初からカメラの中にいた。だからこそ、誰にも見られることなく盗めたんだ。驚くほど単純なトリックさ」
後日、村田の推理通りにマジシャンが逮捕された。驚きに満ちた柴田に村田はただ静かに微笑んだ。安楽椅子探偵の名に恥じぬ解決だった。
内容はAIによって生成された創作です。
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