作者:詠み人知らず

夢見がちな少女の恋

地元の無名図書館で、少女は運命の出会いを経験した。
彼の名前は大和。知らない間に彼の異彩を放つ存在に、少女は夢中になった。

「どの本がおすすめですか?」
「ふむ、それは人それぞれですね。」
大和の眼光は輝き、口元には優しい微笑が浮かんでいた。

少女は、日々大和に会うためだけに図書館を訪れるようになった。
ある日、図書館で大和が読んでいる本をこっそり確認し、その手がかりを元に大和との共通点を見つけようとした。

「ミステリーがお好きなんですね」「それとも推理ものですか?」
「そうですね、考えるのが好きなんです。」
大和の笑顔は、少女の心を揺さぶった。

罪悪感からかわかれた後の少女の心は、なんとも言えない痛みに満ちていた。
しかし、その感情がなんなのか理解出来ずに、そのまま夜を迎えた。

ーーそれが、恋心。

それから数週間が過ぎ、彼女の努力も虚しく、大和との距離は一向に縮まらなかった。
ついに彼が図書館を辞めてしまうとの噂を耳にし、少女は絶望した。

「大和さん、図書館を辞めるんですか?」
「ええ、そうですね。」
「なぜですか?」
「新しい題材を探しに行くためです。」

止むを得ず表情を曇らせる少女に、大和はさらけ出して笑った。
どこか懐かしいその笑顔に、少女はその場で言葉を失った。

「ごめんなさい」とつぶやく、少女の悲しげな表情に、大和は温かい言葉を掛けた。

「君なら、僕の気持ちを理解してくれると思う」

大和の微笑みが明るい朝日に照らし出され、その場が明るく照らされた。

儚くも切ない彼の言葉に、少女の心は高鳴った。

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