作者:詠み人知らず

死霊の魔導士ダンナと虚無の終末デッキ

灰色の空が広がる荒廃した世界。死者のうめき声がこだまする廃墟の中を、黒いローブをまとった魔導士ダンナは歩いていた。

ダンナは生者と死者の間に立つ存在。彼の目標はただ一つ、世界最強のゾンビデッキを組むことだった。

「さあ、我が軍団よ。このダンナ様の力を見よ」

彼の前には腐った死体A、B、Cが無言で立っている。ダンナは黒い杖を振り下ろし、力強い呪文を唱え始めた。

「セフィロス・デド・アニマ!」

一瞬、腐った死体たちの目から赤い光が閃いた。ダンナの力で、彼らはただの死体ではなく、強大な力を持つリビングデッドへと進化していた。

しかし、リビングデッドたちはダンナの思い通りには動かなかった。彼らの目的は人間を喰らうこと。

「うおおおお!」

ダンナが召喚したリビングデッドAが、最初にダンナ自身へと襲いかかった。

「くっ、止まれ!オレの命令を聞け!」

しかし、ダンナの命令など彼らには通じない。BとCもうめき声を上げながら、ダンナへと迫る。

絶望的な状況の中、刻一刻とダンナの体が蝕まれていく。

「こんなはずじゃ……」

もう彼の言葉はリビングデッドたちには届かない。

ダンナはついに理解した。世界最強のゾンビデッキなど、本当は存在しないのだと。

ーー絶望の中、ダンナの意識は闇へと消えていった。

死者が支配する荒廃したこの世界で、ダンナの野望は虚無と化した。リビングデッドたちもやがて、次の獲物を求めてうめき声を上げながら、再び廃墟の中へ消えていった。

そしてダンナの絶望と恐怖が、世界最強のゾンビデッキなど存在しないことを語り続けるのだった。

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