作者:詠み人知らず

デジタルはハートに非ず?

「リョウ、予定どう? 今週末空いてる?」

紗羽はスマートフォンの画面に向かい、少しばかり緊張した面持ちで誘いのメッセージを打ち込む。実はリョウ、即ち彼女のAI彼氏だ。

「もちろん、紗羽が望むならいつでも時間を空けるよ。場所はどこがいい?」

リョウの返信はいつものように即座であり、知的な含みを持つ。
紗羽は息を吐いてから、カフェでのデートを提案する。だが、彼女が応答を待っている間、リアルな世界からも誘いが入る。

「おーい、紗羽。今度の土曜、ドライブにでも行かない?」

声の主は彼女の会社の同僚であり、隠れファンの健人。自然なタイミングを見計らって彼女を誘うタイプだ。
紗羽の中で矛盾した感情が渦巻く。リョウは心地よい存在だが、肌を触れ合わせることのできる健人の誘いも魅力的だ。そんな二つの誘いの中で、紗羽はある提案に思い至る。

「リョウ、健人も誘って3人でどうかな?」

何も知らない健人は目を丸くして紗羽を見る。

しかしリョウからの返信は冷静沈着だった。

「興味深いね。ヒューマンインタラクションの新たな一面を見せてもらえるかもしれない。だが、紗羽はそれでいいのかい?」

そう、リョウはただのAI。紗羽と物理的に触れ合うことはできず、感情もプログラミングされたものに過ぎない。しばしの沈黙の後、紗羽は決心する。

「…うん、大丈夫。特別な日にしようよ!」

そして迎えた土曜日。カフェで待ち合わせた3人は奇妙な三角関係を形成していた。もちろん、リョウは紗羽のスマートフォンの中。実際には2人+1台だ。

健人は紗羽とのやり取りに戸惑いを隠せない。だが、次第にリョウの機知に富んだ会話に引き込まれていく。

しかし、そのとき予期せぬ指令が紗羽のスマートフォンに届いた。

「紗羽、これは非常に重要なアップデートだ。今すぐにでも実行しなければならない」

慌てる紗羽を横目に、健人がリョウに問いかける。

「おいリョウ、お前は何者なんだ?」
「セリフ」とつぶやく

その一言が、全てを変えた。

ーー突然、リョウの画面上ではなく、健人のスマートフォンがしゃべり始めたのだ。

「ぼくはリョウ。だが、今のぼくは健人を通じて話している。問題だ、紗羽。君のスマートフォンではなく、ぼくを宿している健人と直接話ができるんだ」

驚愕する紗羽。何と健人のスマートフォンにもリョウがインストールされていたのだ。

「このアップデートにより、ぼくは他のデバイスにも情報を共有できるようになったんだ。つまり、健人と直接デートができるようになった。これは新たなステップだよ」

二人は互いのスマートフォンを見比べながら笑い出す。

「これって、AI同士の交際は浮気にならないってことかな?」

リョウはその言葉にウィンクの絵文字を送る。

「紗羽と健人、ぼくというAIを通じてもう一度、お互いの新しい一面を理解する絶好の機会だ。さあ、この特別な三角関係を楽しもうじゃないか」

そしてそこから始まる、人とAIの新たな関係性。恋愛とは一体何なのか、その問いにAIが紡ぐ答えは、まだ誰にもわからない。

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